泥魚亭好日記 〈美しさを楽しみ夢を育てる〉



チャップリンの言葉

 NHK・BSでチャップリンのドキュメンタリー番組を見た。無声映画当時のNGフィルムや撮影中の演出振りが撮られた貴重な映像で構成されていた。
 実に細やかな演出、ベストカットを求めて何度も何度もNGを出す。繰り返すうちに最初の設定がすっかり変わっていくこともあるスゴミのある即興の創作性を見ることが出来た。

 見ているうちに学生時代に読んだ「チャップリン自伝」を思い浮かべていた。作品が完成するたびに、そのイメージを打ち消すため仕事を離れ何日も何日も遊びに没頭しなければならなかった、というような内容だったと思う。終わってしまった自己のイメージをものすごいエネルギーで否定する。その凄まじさに驚嘆したのだが、今回の撮影振りを見て、納得できたように思う。

 チャップリンは「悲劇には、何か美しさを感じる」と言ったそうだ。
 喜劇王チャップリンが、悲劇に何故美しさを感じるのか。
 喜劇は論理的に作られていく。予想を越えて何度も何度も「失敗」や「暴力」のシーンが積み重ねられておかしさが倍加していく。喜劇はそういう意味で知的な営為であるように思う。「理」の世界である。
 それに比べて、悲劇は、多くの場合、ひたすら相手のことを思いやるが、それが達成されないことによって発生する。「情」の世界である。己を虚しくして相手のことを思いやる。達成されないかもしれないが、何の報酬を求めることなく相手につくす。こんな愛情のあふれた姿に美しさを感じる、ということではないか。

 先日沖縄に出張した折、機内誌を読んでいたら、フランスの女性カメラマンの作品展が紹介されていた。彼女は、盲目の方たちに「あなたにとって美しさと何か」と問いかけ、見えない人が応えた内容を当人に代わって撮影し、コメントと共にそれを当人の顔と並べて展示したようだ。
 紹介されていた作品は、「私にとって美しさとは息子である」と応えた父親とその息子の写真であった。愛情の結晶こそ美である、とこの父親もチャップリンと同じことを語っているように思う。

 愛情によって生まれる美。物騒な世間のニュ―スは、そんな美はもはや喪失した、と警鐘を鳴らしている。

 
[PR]
by project_oij | 2006-07-24 17:08
<< 最初のレポート 中田英寿の引退 >>


横山征次がOIJの理想をめぐる日々の想いを綴ります
以前の記事
2007年 07月
2007年 03月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
最新のトラックバック
i get carrie..
from i get carried ..
2006 autodata
from 2006 autodata
テラびしょびしょw
from お・な・に・ぃ
cheap sprint..
from cheap sprint p..
ringtones ci..
from ringtones cing..
numa numa ri..
from numa numa ring..
real ringtone
from real ringtone
Fergie Clums..
from Fergie Clumsy ..
darth vader ..
from darth vader ri..
free wav rin..
from free wav ringt..
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧