泥魚亭好日記 〈美しさを楽しみ夢を育てる〉



中田英寿の引退

 昨日、突然中田英寿が引退宣言をした。予想もしない行動に、周囲の人たちを驚かせた。しかし、今日になると、「中田らしい引退の仕方である」「美しい引き際である」という意見が大勢を占め、彼の功績を称え、世界のビッグプレーヤーを集めた華やかな引退試合などを開催するなどのニュースが流れている。
 かつてのチームメイトの談話を聞いていると、「正論を吐くが、言い方に難があって、みんなの理解が得られなかった」という話が一番多かったように思う。要するに「スゴイ奴だが、イヤな奴」というタイプのようだ。

 テレビでの発言を聞いていても、「サッカーは走らないと勝てません」と身もふたもない言い方をして、日本チームの敗戦を批判してみせる。冷静で正確な批評に誰も文句は言えないが、”そうは言ってもよくがんばったんじゃないの”などと言いたい心情派にとっては、なんともやりにくい相手に違いない。
 そんな彼が、日本代表として勝てなかった「責任」を感じて辞めると言う。責任を取れといってもどこかの日銀のトップのようにまるでその気のない御仁が多いこの時代に、なんという潔さ。空々しくただ頭を下げるカタチばかりの責任の取り方(?)しか見ていない我々にとっては、溜飲の下がる思いのする引退宣言である。やっぱり日本人はハラキリを連想させるようなスパっとした責任の取り方を好きであるということだろうか。
 そうなのだろうか? この責任の取り方はそういうことなのだろうか?

 私が彼に感じるのは、今までのスポーツヒーローと全く違って「よく自らを語るヒト」という点である。
 恐らく寡黙でいて中田のようなタイプであれば、それほどファンは多くなかったに違いない。テレビなどで語る内容は、一見冷静そのものに見える「イヤな」ところはあるが、実は本音において「アツい」心情にあふれていることがブログなどを読むとよく解る。そこにみんなしびれる。賢さを感じる。(ただ、ブログの文章は彼自身が書いていないのでは? きれい過ぎて妙に皮膚感覚のしない文章である。誰か文書の得意なヒトの代筆でしょうな)
 
 このスポーツヒーローは、少し大げさにいうと、「近代的な市民」、独立した個人の価値観で出処進退を決めることの出来る民主主義の申し子なのかもしれない。戦後間もなし、GHQの誰かが日本は民主主義という点からすると「赤子」であるというようなことを言っているが、そういう意味で日本人が60年を経てやっと成人になったということか。青年のころからずっとヨーロッパで受けた「市民教育」の賜物かも知れない。
 彼の責任の取り方には悲壮感がない。日本代表としてその義務を果たしえなかった市民が、契約不履行で、その責任を取って選手としては引退するという、そんなドライさをどこか感じる。そういう価値観を彼が持っているということではないか。
 その姿は確かにカッコはいいが、しかしどこか、日本人が持っている「責任」という言葉に対する重さを感じない。。妙に軽い。引退という事実は重いが、その因果関係をつないでいるものが軽い。どうでもいいことかもしれないが、これは進んだ(?)「近代人」に対する私の違和感なのかもしれない。
 
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by project_oij | 2006-07-05 19:20
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