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泥魚亭好日記 〈美しさを楽しみ夢を育てる〉



地方大学

 連休を利用して地方のある大学へ行ってきた。再生の候補に上がっている大学である。

 その大学は、小さな地方都市の郊外にあった。高速道路を下りて左右に水田を見ながらしばらく走ると,小高い丘が見えて来る。大学はその丘の上にあった。本部校舎をはさんで左右に二つの講義棟。こじんまりした大学である。休みのせいか人影は全くなく寂寞とした感じが漂っていた。
 校門の側に小学校で見かけるような動物小屋があった。学生たちの癒しのためにおいてあるのだろうか。何がいるのかのぞこうとしたら、後ろから6,7名の女子学生の一団が自転車に乗ってやってきた。そして、いきなり小屋に駆け寄って「生きてる!生きてるよ!」とはしゃいでいる。
 どこかで傷ついた動物を保護でもしたのだろうか、全員が無邪気に喜んでいる。都会の大学で大人びた学生たちばかり見ている私にとっては、子供のようなその姿に、不思議な感慨を覚えた。

 俗世と隔絶した戒律の厳しい僧院が似合いそうな場所にこの大学を建てた関係者たちは、ホントに定員どおり学生が集まると思っていたのだろうか。ただ、学生の数はともかく補助金が得られ、反対の少ない「公共事業」として大学が設置されたのではないだろうか。今日の破綻は想定内のことであったのではないか。想定外は、国や、県や、市やが支援を打ち切る、ということだったのだろう。こういう予想された破綻が、地方大学に多く見られるに違いない。
 
 今日のこの破綻の構図は、何も大学に限ったことではない。国家の経済体制の基本的な変化によって生まれていることであり、どこにも生まれており、どこにも持っていきようのない難題なのである。地方が「自立の思想」に目覚め、当事者として叡智を発揮しない限り、解決しない問題である。
 結局地域活性化とそれは同じように、地域特性を全国マーケットを視野に置きながら発見創造していくしか道はないのではないか。遠回りかもしれないが、何故この大学はここに生まれたのかを問い、”オンリーワン大学”の道を探ることである。

 まだ、詳しいことは発表できないが、この地方大学の再建策について、OIJは提案の準備をしている。そのためにも、私は直接この大学を見ておく必要があった。予想以上の厳しいところにある大学であったが、この立地空間を生かす方法はあるように思う。もっとも、この地の関係者たちに、変革への熱い思いと学生たちへの強い責任感を抱いてもらうことが、ぜったい条件であるのだが。 
by project_oij | 2006-05-07 17:23
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横山征次がOIJの理想をめぐる日々の想いを綴ります

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